料理長(シェフ)の採用に迷ったら

行列のできる飲食店経営者になりたかった。自分が考えたメニューなら絶対に売れると思った。いつも笑顔が溢れるお店になるはずだった。でもお客さんが来ない。売上が上がらない。クレーム対応に疲れてしまった。そんなあなたに寄り添うサイトです。

グローサラントを導入してみる

グローサラントという言葉を知ってますか?grocerantと書きます。これは、食料品店(grocery)とレストラン(restaurant)を意味する英単語を組み合わせた造語です。少しわかりづらいですが、一度聞けばわかりますね。つまりレストランで使っている食材が同じスペース内で売られていて、来店したお客さんは食べておいしかったらその食材を買って帰ることもできるということです。

グローサラントのメリット

グローサラントの最大のメリットはより一層食のダイナミズムに触れてもらえることでしょう。通常レストランでは厨房に入ることはできません。オープンキッチンになっているレストランもありますが、食材に触れるといったことはお客さんはできません。

しかしグローサラントであればこれから食べる、注文したメニューに使われている食材に触れることができます。この食材からどのような料理ができるのだろう。料理が出てくるまでの間に想像が膨らむことは想像に難くありませんね。

そうすると次に沸いてくるのは、あの食材を使ったらどんな料理ができるのだろう、という想像です。食材というのは置いてあるだけでなんだか楽しくなるものなのです。どうやって料理されているのだろう、とその過程を見たくなるでしょう。もしオープンキッチンであればシェフ、料理人との会話に発展するかもしれません。なぜなら既にお客さんはその食材を使って自分が自宅でお料理をする時のことを思い浮かべているのですから。

料理人、シェフはお客さんからの質問の答えるべきか

グローサラントを導入したのであればもしお客さんから料理のことを聞かれたら冷たくしないで答えてあげてくださいね。あまり料理のことを教えたら自分で作れるようになるからお店に来なくなるかもしれないと思うかもしれません。ただ、それは少し違います。やはり料理人のスキルというのはすごいもので、口頭で聞いただけですぐに真似できるものではありません。もし本当にその料理がおいしければ自分で同じものを作れるようになるために、再度食べにくる可能性も大きいでしょう。

先日聞いたことをもとに作ってみたのだけど、同じ味にならなかった。どうしてだろう?そんな質問を受けるかもしれません。その際は再度丁寧に教えてあげてください。そして再度食材も売ってあげましょう。

もちろん本当に作るのがうまくなって来なくなるお客さんもいるかもしれませんが、それよりもやはり自分が作るのよりシェフが作るほうがおいしいということで、継続して食べに来る人の方が多いでしょうね。この場合のおいしいには、シェフとの会話も入っていることをお忘れなく。

来店の付加価値を増やす

飲食店というのは元々はお料理をお出しする場です。しかし、それだけではなく、料理を中心に来店してもらえることに対して提供できる付加価値を増やしていくことができるでしょう。今回のグローサラントで言えば、どうしても同じ味が出ないと悩むお客様向けにお料理教室を開催してもいいでしょう。1人で参加する人もいるかもしれませんが、友人、知人を誘ってくる人もいるでしょう。そういった人達にもお店のファンになってもらえれば、お金をもらいながら集客をしていることになります。

付加価値はどんどん増やしましょう。

・おいしい料理

・お料理についての知識

・シェフ、料理人との会話

・お料理の技術

こういったことをお店に来た際に提供できる付加価値にしていくことでその飲食店の付加価値はどんどん増えていくことになるでしょう。

 

東京オリンピックに向けた対応について

飲食店の集客トレンドとして大きいのが2020年に開催される東京オリンピックですね。東京のお店だけではなく日本全国に外国人がやってきますので、その経済効果はかなり大きなものになるでしょう。ではどうすればこのトレンドに対応できるのでしょうか。

全張りはリスキー

オリンピックを契機としたインバウンド客は世界中からやってきます。これらの全てに対応しようとすると大変なことになります。これまでも多かった中国や韓国からの観光客の他に欧米、南米、北欧、西欧、東欧、南欧、東南アジア、中東、オセアニア、アフリカなど様々な文化、食のニーズを持った人達がやってきます。全てに対応することはやめましょう。例えば言語だったら何十各国語用意すればいいかわかりません。宗教対応も様々なので、対応は不可能と考えたほうがいいでしょう。

お店との相性を考える

ではどうしたらいいか。まずはお店との相性を考えましょう。例えば牛はインドでは牛は神聖な動物として扱われているために食べる人が少ないです(その一方でインドは牛をたくさん輸出していたりするのですが・・・)。それなのに焼肉やがインド人を取り込もうとしても無理がありますよね。豚肉を食べない宗教だってあります。それから最近だとベジタリアンヴィーガンを初め様々な食事法があります。それら全てを考慮したメニューを作るのは効率も良くありませんし、食材を探すことも簡単ではないでしょう。

日本に来ているということを最大限にアピールする

食材、メニューに関して言えば、日本に来ているということを最大限認識してもらうのも一つの手です。つまり相手に合わせるのではなく、こちらに合わせてもらうのです。日本人が海外に行った際に日本食レストランばかりだとなんだか海外に来た意味を感じませんよね。せっかく海外にいったのであれば現地の特産品などを使ったオリジナルの料理を食べたいと思う人は多いはずです。ですので、日本に来た観光客にも同じように日本産のものを存分に楽しんでもらいましょう。

最低限対応すべきは言語とリスク表記

では何をすればいいかというと、一番は言語対応です。ただこれも絞りましょう。世界中から観光客がやってきますので、全ての言語に対応することはできません。優先順位をつけるのです。単純に人口から考えるのであれば、英語、中国語、スペイン語の3つです。これがあれば世界の半分以上の人口をカバーできます。それでも多すぎるという場合は英語だけにしましょう。

同時にやっておきたいのは写真や絵柄での表記です。飲食店ではたまに文字だけのメニューを作っている場合がありますが、そこに写真をつけておくだけでも全然違います。写真がない場合は絵でもいいでしょう。何もイメージがわかない、文字も読めないとなると何を頼んでいいかがわからなくなります。

それともう一つ気をつけたいのがリスク表記です。つまりアレルギー表記。アレルギーを起こす可能性があるものを扱っている場合はきちんと表記しておきましょう。卵・乳・小麦・そば・落花生・えび・かになどは事前に伝えておかないと大惨事になります。ここでも写真や絵柄を活用すると伝わりやすいでしょう。

わかりやすい特徴、看板メニューを打ち出す

観光客は異文化体験を期待している人が多いです。日本人にとっては違いが分かりやすくても、観光客にしてみればどれも同じに見えてしまうことだってあります。これは海外の人達を見ると全員同じような顔に見えてしまうのと同じです。

そうならないように、自分の店の看板メニューを分かりやすいように打ち出しましょう。店名では伝わらない可能性が大きいです。写真、絵柄を使って、どの国から来た人でもわかるようにしておきましょう。

海外からの観光客が少し苦手であれば期間限定で語学に堪能な人を雇うのもありでしょう。こういった機会にこれまで学んだ語学を使いたいと思っている人は意外に多くいます。そういった人の意見を取り入れたりするとメニューの幅も広がるかもしれません。

せっかくの集客の機会ですから楽しみながら観光客を取り込み、自国に帰った後にもいい評判を広めてもらい、東京オリンピック後も多くの観光客に来てもらえるようにしたいですよね。

 

健康志向メニューについての考え方(流行に対する対応の仕方)

健康志向は今や食における一大ブームといってもいいかもしれません。

食の志向推移

このチャートは日本政策金融公庫が行った消費者の食の志向に関する調査の結果推移です。14半期連続で「健康志向」が最多回答となっていることがわかります。産地偽装問題や中国産食材の問題などもあって、安全性と合わせてのことかもしれませんが、14半期連続というのは志向の高まりといっていいでしょう。

こだわりすぎてはいけない健康志向

ただ、この健康志向にこだわりすぎて、メニュー全てに取り入れるといったやり方はあまりオススメできません。というのもそもそものメニューの良さだったりお店の特徴が見えずらくなってしまうかもしれないからです。

考え方の順番としてはお店の特徴、お客様の求めていることは何かを考えた上で、どうやったら健康志向を取り入れることができるだろうか、ということです。もし最初から健康志向を目指したお店を作っていたのであれば何も変える必要はありませんね。でもそうではなく、例えばスパイシーで刺激的な味を提供するお店を経営していたのに健康志向になったからといって刺激弱めメニューに移行したとなると、そもそもの存在意義にも関わってくることになります。

お客さんが外食をする際に健康志向をどこまで求めるかということの見極めが必要ですし、外食する際の健康志向というのはどんなことなのか、ということも見極めなくてはなりません。

ここでどうして外食外食と言っているかと言うと、健康を最優先した場合に一番の候補というのは自炊になってくるからです。食材、調理方法、食べる量、これらを考えると自分自身で調理するのが一番安全であり健康と言えるでしょう。

しかしながら全ての人が自炊をできる調理技術を持っているとは限りませんし、時間がない場合もあるでしょう。また健康志向にマッチする食材を調達する経済力がないかもしれません。

大事なのは選択肢を与えてあげることとモニタリング

では飲食店が健康志向を取り入れるにはどのように考えたらいいでしょうか。ポイントはお客様に選択しを与えてあげることです。お客さんが来店するのは何かしらそのお店のメニューを食べたいと思ったからです。これが基本です。これがないと来店しませんから。その上で、健康志向な生活に対する選択肢を与えてあげるのです。

例えばご飯ものを提供しているのであれば玄米に変えられるようにしてあげる。パンであれば全粒粉のパンを提供する。こういった形です。原価が異なる場合はその分課金するのもありだと思います。お客さんも自分の健康志向のためであればお金を使う気はあるでしょう。

そしてどれくらいのお客さんが健康志向メニューを選ぶのか、ということをしっかりと把握しましょう。場合によっては選ぶ人が極端に少ないかもしれません。その場合はきっぱりと健康志向メニューをやめましょう。お客さんはあなたのお店に健康志向を求めてやってきてはいなかったということです。ここの見極めが大切です。世の中で健康志向がトレンドだからといって自分のお店をそうしなくてはいけない理由はありません。あくまでお客さんが求めていたら提供してあげるのです。激辛メニュー専門店なのに辛くないメニューを提供したところでお客さんは来てくれなくなるかもしれません。何を求めて来店してくれているのか、そこを把握することで世の中のトレンドへの対応方法が明確になってきます。

 

メニュー開発の考え方。食材、おいしさとの出会いを演出する

飲食店のメニューはどのように考えていけばいいでしょうか。

メニュー数が多すぎるのは失敗しがち

メニュー数が多いといろいろなリスクが発生します。まずは食材廃棄リスクです。多くのメニューに対応しないとけないため、用意しておく食材も多く必要です。常に全てのメニューに注文が入るとは限りません。かといってメニュー表に書いたからには注文が来たら対応しなくてはいけません。そうなると食材廃棄率が多くなり、利益率も悪くなってしまいます。

また、料理人のスキルも必要になってきます。様々な料理を作れなくてはなりませんので、幅広い技術、経験を持った料理人、シェフでないと対応できなくなります。これは人件費の高騰やシフトを組みづらくなったりすることにつながります。あのシェフがいないと提供できない料理というものがあってはいけないからです。

メニューの絞り方

大手チェーンのように体力がない限り、メニューは絞っていくことが必要になってきます。ではどれくらいまで絞るのがいいのでしょうか。究極系は1品しか提供しないというパターンです。非現実的に思えるかもしれませんが、実際にそういったお店もあります。見た目は数種類のメニューがあるように思えても実際には同じものを作り、トッピングを変えているだけ、というパターンもあるでしょう。

ただ、1品だけというのは料理人、シェフとしても面白くないという意見もあるかもしれません。せっかく学んだ技術をいかんなく発揮して、おいしい料理を作り、それをおいしく食べてもらった人の笑顔を見たい。料理人を目指す人が持つ思いでもあるでしょう。またお客さんとしても飽きてしまうということだってあるでしょう。ここら辺にヒントがありそうな気がします。

他業界に学ぶメニュー開発

参考になる例が書店業界にあったのでご紹介します。その書店は街の小さな書店でした。親の代から書店をやっていたため、息子は少しだけサラリーマンをやった後に何の疑問もなく家業を継いだのです。しかし、ネット通販や大規模百貨店が近くにでき始め、だんだんと商売が厳しくなってきます。単純に本を売っていれば儲かっていた時代とは変わってきたということです。

そこでその店主が始めたのが、棚にストーリー性、つながりをもうけることでした。ある一つの本に興味を持ち、その本を手に取ると、次に読むべき本がわかったり、時には店主自ら解説をするなどしたのです。

通常本屋の棚と言えばジャンルごとだったり作家ごとに並んでいることが多いですよね。自分が探している本がどこにあるかわかることが一番重要だったりします。一方でこの店主が重要視したのが、自分がみつけようとしていない本との出会いが見つかる棚だったのです。

顧客は本屋に本そのものを求めてくるように見えますが、本質的には知識や知識を得ることを通じて得られる自分自身の成長が欲しいわけです。知的好奇心が刺激される、自分では言語化できなかった欲しい情報、次に読みたい本、知識の情報が得られる。そういったことをこの店主は演出しようとしたわけです。

この本屋の店主は自店舗の棚の演出にとどまらず、他の場所における演出・コーディネイトも手がけるようになりました。ホテル、旅館、病院などその場その場に適した本、知識というものがあるはずですが、どうしても週刊誌やオーナーの趣味のマンガになってしまいがちです。また新しい本が入ってくるといったこともあまりないのが実情でしょう。そこをこの店主がコーディネイトし、さらには定期的に新しい本の提案をしてあげているのです。

食材、おいしさとの出会いを演出するという発想

同じようなことが飲食店ではどのように考えられるでしょうか。メニュー表にストーリー性を持たせることはできないでしょうか。これは別にメニューが浦島太郎や桃太郎のようなメニューになっている必要があるということではありません。

ある一つのメニューをお客さんが選んだ際に、そこに使われている食材がどういうものであり、他のメニューとのつながり、味付けの理由、合わせるべきドリンクなどが次々とつながって出てくる。そんなメニュー表があったらどうでしょうか。もちろん店員さんが説明してあげる形でもいいでしょう。

お客さんは最初に興味を持ったメニューだけではなく、自分が知らなかった知識を得た上で興味を持ったメニューを頼むかもしれません。食べている時のおいしさも知識が満たされた上の方がおいしく感じられ、いつもより注文量が増えるかも知れません。何より食べることを通じた楽しさが全く違います。

本屋が知識との出会いであれば、飲食店は食材、おいしさとの出会いです。同じメニューであってもそのメニューが持つ意味や食材とのつながり、他のメニューとの関連性などがわかると食事の楽しさも飛躍的に高まっていくのではないでしょうか。

 

飲食店の立地で考えるべきこと

店前通行量を気にしすぎない

飲食店を出店するに際して立地はかなりきになるところだと思います。下記のチャートは「お気に入りのお店を探し出した方法」について調査した結果です。紹介、口コミも多いですが、飛び込みが40%以上を占めています。つまり、店の前を通ってもらわないと集客できないということとも読み取れます。

お気に入りのお店を探し出した方法

出典:30メートル集客ホームページ

確かに飲食店は物理的に存在していますので、お店の前を通ってもらえないといけないというのは一理あります。しかし本当にそれだけを重視してしまってもいいのでしょうか。もしお店の前を通ってもらうことが大事であれば、駅の改札を出たすぐのところでもいいのでしょうか。多くの人が利用する駅の改札ですからかなりの通行量になります。立地としては最高な場所になるでしょうか。

また、たとえ店前通行量が多いところにお店を出せたとしても、リピーターになってもらえるでしょうか。お店の前を通ってもらえればおいしくなくてもまた来てくれるでしょうか。こういったことを考えると店前通行量というのが条件の一つでしかないというのがよくわかってきますね。

お店の前を通る人の心理状態を考える

駅の改札を出たすぐのところ、というのは極端だったかもしれません。でも実際にそこに出店しているお店もありますよね。それはどういったお店でしょうか。そうです。キオスクのようなお店ですね。改札に入る前だったり、改札から出てきた直後にふとしたものを買う場所、それが駅の売店です。決してそこで提供されるのは高級フレンチのコースや神戸牛を食べさせてくれる鉄板焼きレストランではありません。100円前後で持ち帰るのにも不自由しないくらいのサイズのものばかりです。

これはエキナカの店舗を見てもいいかもしれません。駅というのは人が集まる場所ではありますが、人が行き交う場所でもあります。基本的に駅にいる人達はあまり落ち着かないのです。これから出かける人、家に帰る人、共に長居をするつもりがない、これが駅にいる人達の心理状況でしょう(これが空港なんかだとちょっとちがってくるかもしれませんね)。

ご自分が提供するお料理はどのような心理状態の人達に食べて欲しいのでしょうか。仕事が終わって家に帰る前にちょっとだけ小腹を満たしたい人達でしょうか。家族がそろって食事をするためにゆっくりと時間をすごしたい人達でしょうか。駅から離れていてもグルメな人にとっては非常に気になるような食材を使っていたりしますでしょうか。どんな心理状態のお客様に食べて欲しいお料理を提供しているのか、ということを考えてみると立地についての候補、可能性が明確になり、単純に駅から徒歩5分以内といったことだけではない考え方ができるようになるかもしれません。

立地はあくまで一条件

立地が良かったから儲かった。そういった話を聞くことがあるかもしれません。大学の近くだったから学生がたくさん来てくれた、たまたま近くに大企業のビルが建設されて、社員さんがたくさん来てくれるようになった。そういった類の話です。しかし、本当にそれだけが儲かった理由になるでしょうか。

おそらく普段は気がつかないかもしれませんが、廃業率の高いのが飲食店業界です。儲かっているお店の横でつぶれていくお店もあります。お店があることにはおそらく気づいてもらえているのでしょう。しかし儲かるお店と儲からないお店があるのです。そこにある違いは何でしょうか。これを考えていかないと立地が良ければ・・・という幻想に振り回されてしまうのです。

 

飲食店の集客に際して間違えたくない優先順位

広告宣伝は最優先事項ではない

飲食店の集客をする際に最初にやりがちなのが、広告宣伝を打つ、ということです。現在は様々なグルメサイトがあります。ホットペッパー、ぐるナビ、食べログ、Retty他にもあるでしょう。こういったサイトに登録をしたり、口コミサイトであれば自分のお店のページに宣伝内容を掲載したりすることができます。もちろんいずれも有料です。

さらにはチラシをお店の外で配ったり、ポスティングをするかもしれません。飲食店の場合物理的な商圏というものがありますので、お店の外を歩いている人にチラシを配って来店してもらったり、商圏内にある住居などにポスティングをしておけばお店のことを知ってもらえるかもしれません。

グルーポンという教訓

飲食店に限りませんが、新規顧客を集客する際に忘れていけないのがグルーポンの教訓です。もはや名前を聞くことも少なくなりましたが、以前グルーポンという企業、サービスがありました。何をやっていたかというと、いわゆるタイムセールスのようなものです。期間限定で超格安で販売をする代わりに圧倒的な集客力を提供する、という形でした。

例えば、期間限定で50%引き!とか70%引き!といった感じでグルーポンのサイトに掲載をするとものすごい勢いでお客さんが集まります。もうほんと入れ食い状態です。しかしその後に何が起こるかというと、簡単ですよね。割引した時だけお客さんが来るだけで、サイトに何も出さなければお客さんが来ないのです。

グルーポン側としては、新規顧客を呼び込みますから、その後そのお客さんをリピーターにできるかできないかはお店の責任ですよ、という主張だったと思います。一応一理あるのかもしれません。いつもお店の前を通った際においしそうだな~と思っていたお店がグルーポンに掲載させれていて、50%引きって書いてあったらどうせ行こうと思っていたのであればこの機会に行ってみよう。そう思う可能性はありますよね。

しかし実態はそうではなかったのです。単純に割引に魅力を感じたお客さんしか来なかったのです。そのためそのお客さんはお店に興味がなく、とにかく安く食べれてラッキー、といった感じで食べて帰るだけ。決してリピーターになることはなかったのです。つまり彼らはグルーポンを通じて自分達に合う飲食店を探していたなんてことは全くなく、単純に割引を求めていただけ、ということです。結果残ったのは飲食店の損失だけ、ということです。

集客を考える際に一番重要なこと

集客というとお客さんが来ればいい、と考えがちです。このためとにかく人が来るサイトに出稿してしまうといったことをしがちです。しかし一番優先させないといけないのは、来て欲しいお客さんが誰で、そのお客さんが食べたいと思っているメニューは何か、ということです。決して宣伝文句や綺麗なバナーではありません。ましてや割引率なんかでも全くありません。

来て欲しいお客さんが食べたい料理を作ること。これがまず最初に考えることです。最優先で考えることです。これが考えられていないと、とにかく割引だったり、駅からの距離だったり、本質的に食べること以外の理由で来店してしまうお客さんが増えてしまいます。その結果お客さんの期待値はばらばら。間違ってその期待全てに応えようとしてしまうと、お店の方向性もばらばらになってしまい、数ある飲食店から選んでもらえなくなるのです。

もし来て欲しいお客さんが明確になっていて、そのお客さんが食べたいメニューを作れていれば、違う期待を持って来店したお客さんにはその説明をしてあげればいいのです。別に偉そうに説明する必要はないです。お客さんも説明がきちんとしていれば、そういったニーズを持った人に伝えてくれるかもしれませんし、自分自身にそういったニーズが発生した際には使ってくれるでしょう。

集客のまとめ

集客と書くとお客さんを集めると理解してしまいがちですが、実はお客さんを選ぶことでもあるのです。来て欲しいお客さんが決まっていない状況で集客だけをしてしまうとお店は疲弊しますし、お客さんの満足度も高まらず、何もいいことがないという地獄絵のような状態になってしまいます。集客をする際には必ずどういったお客さんに来て欲しいのか、ということを明確にするようにしましょう。

もちろんその後に行うべきことがあります。それについては有料コンサルにて。

飲食店における原価率は30%?40%?50%超えもあり?

飲食業界における原価率の常識

飲食店を経営していく上で避けて通れないのが原価率という考え方です。原価率というのは販売価格に占める原価の割合です。飲食業界ではだいたい30%前後に抑える、というのが通説にはなっているようです。これはどうしてかというと、その他のコストとのバランスがあるからです。

販売価格に含まれるものは当然原価だけではありません。

<固定費>

・地代(家賃)

減価償却費(道具などに投資をしていた場合)

変動費

・人件費

・広告宣伝費

・光熱費

・地代

・その他(事務用消耗品などあれば)

・利益

これらが販売価格の中に入ってきますので、原価が高いと他の費用を圧迫することになりますし、最悪利益が出ない、ということにもなりかねません。スーパーで買ったらもと安いものが飲食店に行くと全然違う価格で販売されている、というのはこういうことですね。これらをひっくるめてサービス代と呼んだりもしますね。まぁお客さんが気持ちよく、いつ来ても一定の品質で食べれるようにしてくれているための代金といったところでしょう。

飲食店における原価率の常識をぶちこわした人達

そんな常識をぶち壊した人もいます。有名な俺のフレンチ、俺のイタリアンがそのいい例ですね。同社は平均原価率が40%とか60%、中には90%のものもあると言います。普通に考えると利益でないですよね。

しかし同社の2018年3月に出た第5期決算広告では当期純利益:1億7,677万円となっています。十分に利益出てますね。同社HPによると社員数は約450名、従業員数1,000名近いです(バイト入れた数字?)。そこまでの大所帯になれるのも利益をしっかりと出しているからでしょう。

原価率30%だけを考えない飲食店の採算管理で注目したい3つのこと

俺のイタリアン、俺のフレンチを運営する俺の株式会社がどうして利益を出せるのでしょうか。そこには原価率30%という固定概念を捨てた発想があるのです。

まず注目したいのが回転率です。そしてセールスミックスの考え方。最後に食事以外の売上です。順に説明します。

回転率

俺のイタリアン、フレンチに行ったことがある人ならわかると思いますが、基本立ち食いです。現在は一部店舗で座れるお店もあるようですが、登場当初は全ての店舗が立ち食いだったはずです。この目的は明らかで、回転率を上げるためです。人は立って食べるよりも座って食べるほうが快適です。裏を返すと、立って食べるお店からはすぐに出たくなるということです。立ち食いのお店もしくはカウンターなどで椅子があっても顧客1人が使えるスペースが限られているお店はみな回転率アップを目的としているといっていいでしょう。お客さんにゆっくりして、滞在時間を高めたければ深く座れるソファーなどを用意するはずです。

立ち食いにすることで回転率を上げて、原価が高くても利益を多く出せるようにしているのです。もちろんこれだけではないですからね。

セールスミックス

食材原価率は30%、と聞くとお店にあるメニュー全てで30%を達成しようと考えるかもしれません。もちろんそれで売れるメニュー開発ができればそれに越したことはないのかもしれません。ただ、あくまで目安ですし、お客さんの目を引くようなメニューを作ろうと思ったときにそういった原価率があるとあまりいいものが作れないことが多いのです。使おうとする食材全てを細かく管理して、、とやっていくと最終的にはなんだかつまらないメニューができあがる、それが原価率30%の縛りです。

少し発想を変えてみると、別に全てのメニューで原価率30%である必要はないのです。トータルで、全メニューでみた時に原価率30%を達成していればいいわけです。おそらく俺のイタリアンやフレンチでも全てのメニューの原価率が高いというわけではないはずです。それよりもお客さんが目玉と感じる、そのお店に行きたくなるようなメニューについては原価率を高くし、お得感を出し、一方でどのお店でも頼めそうなもの、中心はドリンクになってくるかもしれませんが、そういったものについては原価率30%とかもう少し低くしていると思われます。これによってトータルでの原価率をコントロールし、利益が出るようにしているのです。

食事以外の売上

俺のイタリアン、フレンチでやっているのが生のJAZZを聞ける、という取り組みです。確か以前俺の株式会社社長の坂本孝氏がインタビューか何かでこの取り組みについて説明をしていました。本だったかもしれません。

そこでは、この生JAZZに対する売上が非常に大きいことが説明されていたのです。簡単に説明すると、お客さんは4回転くらいします。入場者全員から生JAZZを聞くための料金を取ります。一方で演奏者への報酬支払いは固定です。生JAZZを聞けるというのは大きなプロモーション効果を生みますので、どんどんお客さんが入ります。飲食代の売上も伸びます。しかし費用は変動費ではなく固定費なのです。これが3つ目の取り組みです。

別に生JAZZでなくてもいいですよね。例えばサッカーの日本代表の試合を大画面で見れるので、その日だけチャージ料金を少しもらうとか。そういったことでもいいと思います。

まとめ

このように飲食店の原価は30%というのが通説ですが、それを全てのメニューに杓子定規にあてはめてしまうとなんとも面白くないメニューができあがり、何の差別化もなく、お客さんを呼べない飲食店になってしまいかねません。最終的に30%に落とし込むのであればいいのですが、最初から制約を守ることを考えていては、飲食店が乱立する日本ではなかなか選んでもらえないかもしれません。

今回ご紹介した回転率、セールスミックス、飲食以外の売上を使うことでトータルでの原価率30%を是非実現してくださいね。